宮部みゆきさんの『火車』をAudibleで聴きました。
Audibleの無料体験で最初に選んだ一冊が、この『火車』です。
評価の高い名作なので「まずはこれを聴いてみよう」と思って選びましたが、正直にいうと、物語そのものは私の好みとは少し違いました。
それでも、15時間35分の長編を最後まで聴けたのは、三浦友和さんの朗読がとても聴きやすかったからです。
この記事では、『火車』のあらすじ、Audible版の基本情報、実際に聴いた感想、三浦友和さんのナレーションについてまとめます。
『火車』のあらすじ

休職中の刑事・本間俊介が、突然姿を消した女性の正体を調べていく社会派ミステリーです。
休職中の刑事・本間俊介は、遠縁の男性から「婚約者が突然いなくなった」と相談を受けます。
失踪した女性は関根彰子。ところが調べていくと、婚約者が知っていた「関根彰子」と、実際の関根彰子の人生には大きな違いがあることが分かってきます。
なぜ彼女は自分の過去を消そうとしたのか。なぜ名前や経歴に違和感があるのか。
本間が聞き込みや資料を一つずつ確認していく中で、クレジットカード、借金、自己破産といった問題が見えてきます。
派手な事件が次々に起こる作品ではありません。人の人生を一つずつ調べていくほど、別の怖さが見えてくるタイプのミステリーです。
『火車』Audible基本情報
Audible版の配信情報と、原作の主な情報をまとめます。
新潮文庫版は704ページあります。数字だけを見るとかなりのボリュームなので、紙で読むと身構える人もいると思います。
Audible版は15時間35分ですが、家事や散歩などと一緒に少しずつ聴けるため、私は紙で読むより続けやすく感じました。
Audibleで『火車』を聴いた感想



名作といわれる理由は分かりました。でも、物語そのものは私の好みとは少し違いました。
『火車』は、テンポよく事件が進むミステリーではありません。
本間が一人ずつ話を聞き、資料を確認し、失踪した女性がどんな人生を生きてきたのかを少しずつ明らかにしていきます。
そのため、派手な展開を期待していると、途中で少し長く感じるかもしれません。私はまさにそのタイプで、紙の本だったら途中で止まっていた可能性が高いです。
借金の話なのに、今読んでも怖い
この作品が書かれたのは1990年代初頭です。
スマホもSNSもない時代なので、調査の方法や生活には古さがあります。でも、借金によって生活が崩れていく怖さや、「信用」が人の人生に影響するところは、今読んでも十分伝わります。
特に怖かったのは、お金の問題が単に「使いすぎた人の自己責任」として描かれていないことです。
借金を抱えた人がどんどん選択肢を失っていく様子が細かく描かれるので、事件そのものより現実の方が怖いと感じました。
派手な謎解きではなく、人の人生を掘り下げるミステリー
『火車』は、犯人当てを楽しむタイプの作品とは少し違います。
本間が調べていくのは「この人は何をしたのか」だけではなく、「なぜそこまでしなければならなかったのか」です。
失踪した女性の過去が見えてくるほど、単純に善悪だけでは分けられなくなっていきます。
私はテンポの面では少し合いませんでしたが、社会派ミステリーとして長く読まれている理由は、この部分にあるのだと思いました。
ラストは好みが分かれそう
物語の終わり方については、私は少しモヤモヤしました。
はっきりと全部を説明して終わるタイプではないため、「ここまで聴いたのだから、もう少し知りたかった」と感じた部分があります。
一方で、すべてを説明しないからこそ『火車』らしい、と感じる人もいると思います。
私は大好きな結末ではありませんでしたが、それも含めて強く記憶に残る作品でした。
三浦友和さんの朗読だから最後まで聴けた
私が『火車』を最後まで聴けた一番大きな理由は、三浦友和さんのナレーションです。
私はもともと、俳優さんが朗読すると本人の顔が浮かんでしまうことがあり、少し苦手です。
でも、この作品ではそれがほとんど気になりませんでした。
落ち着いた声が、本間という人物や1990年代の空気によく合っています。感情を大きく作りすぎず、淡々としているところも、この作品には合っていました。
内容が自分の好みではなくても、声が聴きやすいことでそのまま続けられる。Audibleを使い始めた最初の一冊で、その良さを実感した作品です。
私は等倍で聴くのがちょうどよかった
普段は1.2倍速くらいで聴くことが多いのですが、『火車』は等倍で聴きました。
会話だけでどんどん進む作品ではなく、説明や聞き込みが多いので、速度を上げすぎると内容が頭に入りにくくなりそうだったからです。
散歩や家事をしながら少しずつ聴きましたが、人物関係や借金の仕組みに関する説明が続く場面は、少し集中した方が分かりやすかったです。
紙の本とAudible、どちらが向いている?
どちらがいいかは、読書スタイルで変わります。
人物関係や説明を自分のペースで確認したい人は、紙や電子書籍の方が読みやすいと思います。
一方、私のように「興味はあるけれど、704ページを最後まで読む自信がない」という人には、Audibleが向いています。
私自身、紙で読んでいたら途中で止まっていたかもしれません。それでもAudibleなら家事や散歩と一緒に聴けて、15時間35分を最後まで聴けました。
作品そのものの好みとは別に、「読み切りやすさ」という意味でAudibleの良さを感じた一冊です。
『火車』はこんな人におすすめ
テンポの速さよりも、人物の背景や社会問題をじっくり描くミステリーが好きな人に向いています。
- 宮部みゆきさんの代表作を読んでみたい人
- 社会派ミステリーが好きな人
- 借金や自己破産を題材にした物語が気になる人
- 分厚い名作をAudibleで聴いてみたい人
- 三浦友和さんの落ち着いた朗読を聴きたい人
反対に、事件が次々に起こるスピード感のあるミステリーや、最後にすべてがすっきり解決する物語を求める人には、少し合いにくいかもしれません。
まとめ
『火車』は、失踪した女性の正体を調べる過程で、借金や自己破産など社会の問題が見えてくるミステリーです。
私にとっては、物語そのものが大好きな作品になったわけではありません。テンポやラストは、少し好みと違いました。
それでも、Audibleの最初の一冊として選んだことで、「紙なら止まってしまいそうな長編でも、耳なら最後まで楽しめる」と実感できました。
三浦友和さんの落ち着いた朗読も、この作品によく合っています。『火車』を読んでみたいけれど長さが気になっている人には、Audibleで聴く方法もおすすめです。
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