池井戸潤さんの『アキラとあきら』をAudibleで聴きました。
私が聴いた池井戸作品には『ハヤブサ消防団』とその続編もありますが、本作の舞台は銀行。同じ読みの名前を持つ二人が、それぞれの人生を歩みながら、仕事を通して関わっていく物語です。
銀行員になってからの活躍だけでなく、子どもの頃から描かれているのが、この小説の大事なところ。山崎瑛と階堂彬が何を背負い、何を大切にしているのかが、仕事での判断につながります。
竹内涼真さん・横浜流星さん主演で映画化された原作です。映画やドラマで作品を知った方にも、小説のあらすじとAudible版の情報、二人の生き方が伝わるようにまとめました。
『アキラとあきら』のあらすじ

町工場の息子と、大手海運会社の御曹司。同じ「あきら」でも、二人が見てきた景色はまったく違います。
山崎瑛は、小さな工場を経営する父のもとで育ちます。会社の倒産など、家族の暮らしを揺るがす出来事を経験しながら、自分の道を切り開いていきます。
一方の階堂彬は、大手海運会社・東海郵船の御曹司。恵まれた家に生まれたものの、家業を継ぐことへの期待や一族の事情と向き合わなければなりません。
異なる境遇で育った二人は、やがて産業中央銀行に入行します。それぞれに信念を持ち、銀行員として経験を重ねていく中、彬の実家の会社に異変が起こります。
銀行から企業を見る瑛と、経営の当事者となる彬。二人の人生が再び交わり、大きな難題に立ち向かっていきます。
『アキラとあきら』Audible版の基本情報
- 著者:池井戸潤
- ナレーター:平川正三
- 再生時間:17時間38分
- 配信日:2019年4月25日
- ジャンル:経済小説/青春小説/人間ドラマ
- Audible:聴き放題対象
- 映像化:2017年にWOWOWでドラマ化、2022年8月26日に映画公開
- 関連商品:文庫版、電子書籍
Audible版は平川正三さんによる完全版の朗読です。集英社文庫では上下巻ですが、Audibleでは『アキラとあきら』という一つのタイトルで配信されています。
ドラマ版は向井理さん・斎藤工さん主演で2017年に放送され、映画版は竹内涼真さん・横浜流星さん主演、三木孝浩監督で2022年に公開されました。Audibleは、それらの映像の音声ではなく、小説を朗読したものです。
紙や電子書籍では「瑛」「彬」という漢字の違いも目に入ります。音声ではどちらも「あきら」なので、町工場の息子が山崎瑛、海運会社の御曹司が階堂彬、と姓と生い立ちを結びつけておくと、二人の立場をつかめます。
Audibleで聴く『アキラとあきら』の感想



銀行のお金の話が、二人の家族や人生の話とつながっている。そこに、この小説の読みごたえがあります。
本作は、銀行員が難しい案件を解決するだけの話ではありません。幼い頃に経験したことが、大人になった二人の選択に関わってきます。
同じ社長の息子でも、瑛と彬の暮らしは対照的
同じ社長の息子でも、瑛と彬の暮らしは対照的です。
瑛にとって会社の経営は、父の仕事であり、自分たちの生活そのもの。彬にとっての家業も、ただ将来を約束してくれるものではなく、自分の生き方に関わる存在です。
その二人が銀行に入るから、融資の判断にも背景が生まれます。数字の向こうに誰がいるのか。なぜ、その仕事を引き受けるのか。子ども時代から読んできた人物だからこそ、仕事での選択を人生の続きとして見られるんですよね。
銀行と企業、違う立場にいる二人がつながる
瑛は銀行員として、彬は企業を担う立場として、同じ問題に関わっていきます。
会社を外から評価することと、中で働く人や家族の責任を引き受けること。その両方を、二人の主人公を通して描いている小説です。
一方だけが正しくて、もう一方が助けられるという単純な形には収まりません。違う場所で積んできた経験があるから、二人で向き合う意味がある。仕事を描く物語でありながら、人と人が力を合わせる話にもなっています。



同じ池井戸作品でも、『ハヤブサ消防団』は地方の集落を舞台にしたミステリーです。本作とは題材が異なるので、池井戸さんの別の物語も聴きたい方は、そちらの感想も参考にしてください。


平川正三さんの朗読で二人の言葉を聴く
Audibleでは、瑛と彬、それぞれの会話や心の内を、平川正三さんの朗読で聴けます。
二人の名前は同じ「あきら」でも、置かれた状況や話している相手は違います。会話の中で、二人がどんな立場から言葉を発しているのかを考える楽しみがあります。
紙で読むなら漢字を目で確かめられますし、Audibleなら言葉を声として受け取れます。二人が何を守ろうとしているのかが、家族とのやり取りから仕事の場面までつながっている作品です。
『アキラとあきら』はこんなひとにおすすめ
銀行という舞台に加え、家族や生い立ちを含めた人物の物語を読みたい方に向く一冊です。
- 仕事と人生がつながる小説が好きな人
- 境遇の違う二人が力を合わせる話を読みたい人
- 家族や会社を継ぐことを描いた物語に興味がある人
- 映画やドラマの原作を聴いてみたい人
- 平川正三さんの朗読で池井戸作品を楽しみたい人
まとめ
『アキラとあきら』は、異なる境遇で育った二人が、銀行と企業の世界で関わっていく物語です。子ども時代から描かれる二人の歩みが、大きな決断につながります。
仕事で何を大切にするのか。家族から受け継ぐものを、どう引き受けるのか。二人の人生を通して、その問いを読める小説です。
Audible版は平川正三さんの朗読で、プレミアムプランの聴き放題対象として配信されています。無料体験の対象となる方は、体験期間中に聴くこともできます。
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