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『俺ではない炎上』感想|SNSの怖さと巧妙な仕掛けに引き込まれる

Audible感想『俺ではない炎上』SNSの怖さと巧妙な仕掛けに引き込まれるミステリー

Audibleで浅倉秋成さんの『俺ではない炎上』を聴きました。

ある日突然、身に覚えのない殺人事件の犯人として実名と顔写真を拡散された会社員が、真相を追いながら逃げ続けるミステリーです。

SNSの炎上を扱った作品ですが、単に「ネットは怖い」という話では終わりません。誰の言葉を信じるのか、画面に見えている情報だけで人を判断していないかを考えさせられました。

2025年には阿部寛さん主演で映画化されています。映画をきっかけに原作が気になった人にも、Audibleなら耳で物語を追えます。

この記事では、『俺ではない炎上』のあらすじ、Audible版の基本情報、実際に聴いた感想をまとめます。結末に関わる大きなネタバレはありません。

目次

『俺ではない炎上』のあらすじ

『俺ではない炎上』は、ある日突然SNSで殺人犯に仕立てられた男性が、逃げながら真相を追っていくミステリーです。

大帝ハウス大善支社で営業部長を務める山縣泰介は、外回り中に支社長から急いで会社へ戻るよう連絡を受けます。

ところが、山縣は女子大生殺害事件の犯人として、SNS上で実名と顔写真をさらされていました。

犯行をほのめかすアカウントは、山縣本人のものにしか見えないほど巧妙に作られています。本人が否定しても会社や友人、家族まで疑い始め、居場所を特定しようとする人たちにも追われます。

なぜ自分が犯人に仕立てられたのか。アカウントを作ったのは誰なのか。山縣は逃亡しながら、事件と炎上の真相を探っていきます。

『俺ではない炎上』Audible基本情報

  • 著者:浅倉秋成
  • ナレーター:松村悠哉
  • 再生時間:12時間49分
  • 配信日:2022年8月12日
  • ジャンル:ミステリー、スリラー、サスペンス
  • Audible:聴き放題対象として配信あり
  • 映画化・ドラマ化・アニメ化・舞台化の有無:映画化あり。映画『俺ではない炎上』は2025年9月26日公開
  • 映像配信:Prime Videoで配信中
  • 関連商品:文庫Kindle版

再生時間は12時間を超えるため、短時間で聴き終わる作品ではありません。

ただし、主人公が追い詰められていく逃亡劇と、複数の人物をめぐる謎が並行して進みます。先が気になる展開が続くので、長さのわりに物語は進みやすく感じました。

映画版『俺ではない炎上』は現在Prime Videoでも配信されています。Audibleで原作を聴いたあとに、映画版との違いを楽しむのもおすすめです。

Audibleで『俺ではない炎上』を聴いた感想

物語の中心になるのは、大帝ハウス大善支社で営業部長を務める山縣泰介です。

ある日突然、女子大生殺害事件の犯人としてSNS上で実名と顔写真をさらされ、本人が否定しても疑いは一気に広がっていきます。

炎上の怖さと、ネット上の情報が人を追い詰めていく流れがかなりリアルで、最初から不穏な空気があります。
ここでは、『俺ではない炎上』の大まかなあらすじを紹介します。

炎上が広がっていく速さが怖い

最初に強く感じたのは、本人が何も知らないうちに「犯人」という話だけが広がっていく怖さです。

事実が確認される前に、実名や勤務先、家族に関する情報まで次々と掘り起こされていきます。正義感から犯人を追い詰めているつもりの人もいれば、注目を集めたいだけの人もいます。

作中ではTwitterという名称が使われていますが、断片的な情報が短時間で拡散される怖さは今も変わりません。

山縣の立場はかなり極端ですが、似た名前や写真、切り取られた投稿から別人が疑われることは現実にもあり得ます。遠い世界の出来事とは感じにくい作品でした。

主人公を素直に応援できないところが面白い

山縣は身に覚えのない罪を着せられた被害者です。それでも、聴き進めるうちに、全面的に同情してよい人物なのか迷う場面が出てきます。

本人が考えている自分の姿と、会社や家族から見えている姿にはずれがあります。

「自分は悪くない」という言葉も、事件については正しくても、それまでの人間関係まで含めると単純ではありません。このずれが少しずつ見えてくることで、ただの冤罪逃亡劇ではない面白さが生まれていました。

SNS上の情報を簡単に信じてはいけないと思いながら聴いている側も、知らないうちに登場人物を決めつけてしまいます。そこまで含めて組み立てられているところが印象に残りました。

複数の視点が終盤につながっていく

物語は山縣の逃亡だけでなく、別の人物の視点やSNSへの投稿を挟みながら進みます。

最初はそれぞれの場面がどこで結びつくのか分かりにくく、人物関係を整理する必要がありました。しかし、終盤に近づくと、それまで気になっていた違和感が意味を持ち始めます。

浅倉秋成さんらしい仕掛けがあり、途中で分かったつもりになっても、そのままでは終わりません。詳しく触れると面白さを損なうため書けませんが、情報の見せ方そのものが作品のテーマと合っていました。

一方で、人物名や時間の流れを聞き逃すと、終盤で少し混乱しやすい作品です。完全なながら聴きより、物語にある程度意識を向けられるときのほうが楽しみやすいと思います。

ナレーションは声色の変化が控えめ

ナレーションは松村悠哉さんが一人で担当しています。

全体的に落ち着いた読み方で、逃亡中の緊張感を必要以上に大げさにしないところは作品に合っていました。

ただし、登場人物ごとの声色の違いは控えめです。複数の人物や視点が登場するため、会話が続く場面では誰の発言なのか分かりにくく感じるところがありました。

Audibleの作品ページには、2023年2月5日に音声の差し替え修正を行ったとの記載があります。現在配信されている版でも、演じ分けの大きい朗読を好む人には少し淡々と感じられるかもしれません。

紙やKindleよりAudibleが向いている人

『俺ではない炎上』は逃亡場面に動きがあり、次に何が起こるのか気になるため、音声でもテンポよく楽しめます。

一方で、複数の視点や時間軸をじっくり確認しながら仕掛けを考えたい人は、紙の本やKindleのほうが読み返しやすいです。

細部を一度で完全に把握しようとせず、まずストーリーの勢いを楽しみたい人にはAudibleが向いています。結末を知ったあとに、気になった場面を聴き直す楽しみ方もできる作品です。

『俺ではない炎上』はこんな人におすすめ

  • SNSを題材にした現代的なミステリーが好きな人
  • 追われる展開や逃亡劇を緊張感とともに楽しみたい人
  • 伏線や視点を利用した仕掛けのある作品が好きな人
  • 浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』が面白かった人
  • 映画を観て原作との違いが気になった人

同じ浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』も、見えている情報を疑いながら楽しめるミステリーです。こちらもAudibleで聴いた感想をまとめています。

まとめ|『俺ではない炎上』はSNS時代だからこそ怖いミステリー

俺ではない炎上』は、殺人犯に仕立てられた男の逃亡を追うだけでなく、SNSで拡散される情報と、人が自分自身をどう見ているかを描いたミステリーでした。

追われ続ける緊張感があり、後半では複数の視点や違和感がつながっていきます。主人公を完全には信じきれない人物造形も、この作品の面白いところです。

Audible版は12時間49分と長めで、声の演じ分けも控えめです。人物や時間軸を丁寧に追いたい場合は、ながら聴きより集中できる時間に聴くほうが向いています。

Audibleプレミアムプランでは『俺ではない炎上』が聴き放題の対象になっています。作品が自分に合うか迷う場合は、まず無料体験で聴き始めてみてください。

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