直島翔さんの『テミスの不確かな法廷』をAudibleで聴きました。
法廷ものでも、本作の主人公は弁護士や検事ではなく、裁判官の安堂清春。事件を裁く立場にいる彼が、周囲との関わりや自分自身の特性にも向き合っていく小説です。
2026年には松山ケンイチさん主演でNHKドラマ化されました。
今回は原作小説について、事件の結末を伏せて、安堂と弁護士の小野崎の関係や見どころをまとめます。
『テミスの不確かな法廷』のあらすじ

被告人は、なぜ何も話さないのか。安堂は、法廷に持ち込まれた事件の中に疑問を見つけます。
任官7年目の裁判官・安堂清春は、幼い頃に発達障害と診断されました。
自分の特性を周囲に明かさず、人との距離を取りながら仕事を続けています。
Y地裁に赴任して半年。副市長が被害に遭った傷害事件を担当した安堂は、弁護士の小野崎から、被告人が口を開かないと聞かされます。
沈黙の奥に、まだ表に出ていない事情があるのではないか。そこから、事件の見え方が少しずつ変わっていきます。
本作には、微笑みながら殺人を認める教師や、娘の死をめぐって訴える父親も登場します。
事件の謎と、安堂自身の日々の戸惑いが重なる連作です。
『テミスの不確かな法廷』Audible基本情報
- 著者:直島翔
- ナレーター:綴木凌
- 再生時間:6時間38分(完全版)
- 配信日:2026年7月17日
- ジャンル:リーガルミステリー・小説
- Audible:聴き放題対象
- 映像化:松山ケンイチ主演のNHKドラマ『テミスの不確かな法廷』(2026年)
- シリーズ:『テミスの不確かな法廷』第1作
- 関連商品:文庫版・ハードカバー・kindle版(0円対象)
Audible版は綴木凌さんの朗読による完全版です。原作の文章を音声で楽しめます。
収録作は「カレンダーボーイ」「恋ってどんなものかしら」「擬装」。角川文庫版と電子書籍版も刊行されています。
『テミスの不確かな法廷』をAudibleで聴いた感想



事件をどう見るかと、人をどう理解するか。その二つが安堂の仕事の中でつながっています。
裁判官が主人公というだけでも新鮮でしたが、事件そのものより、安堂がどこに引っかかりを感じるのかが印象に残りました。小野崎とのやり取りも含めて、安堂という人物が少しずつ見えてきます。
裁く側の安堂にも、言葉にできない事情がある
安堂は裁判官として人の話を聞く立場にいますが、自分のことを話すのは得意ではありません。その不器用さが、法廷の外での安堂を見ているとよく伝わってきました。
被告人が話さない場面でも、安堂はそこで終わらずに違和感を拾っていきます。そういう細かな引っかかりから事件の見え方が変わっていくところが面白かったです。
安堂の特性も、事件を解くためだけに置かれている感じではなく、仕事や人との関わり方にそのままつながっています。法廷の外で戸惑う姿も含めて、私は安堂の人物像が印象に残りました。
小野崎とのやり取りから、安堂の見方が伝わる
安堂と小野崎は立場が違うので、同じ事件を見ても反応が少し違います。その会話があることで、安堂が何を気にしているのかも分かりやすくなっていました。
小野崎とのやり取りは堅い法廷ものという感じになりすぎず、人物同士の距離も見えてきます。綴木凌さんの朗読も自然で、会話の場面まで聴きやすかったです。
三つの事件を通じて、安堂という人物の輪郭も少しずつ見えてきます。誰が何をしたのかという謎に加え、人の話をどう受け止めるかまで考えられる一冊だと思います。
綴木凌さんの朗読が安堂の雰囲気に合っていた
綴木凌さんの朗読は落ち着いていて、安堂の淡々とした話し方とも合っていました。
安堂は感情を大きく表に出す人物ではないので、声で強く演じすぎないところも私は聴きやすかったです。
小野崎との会話になると少し空気が変わり、法廷の場面と普段の安堂の違いも感じられました。
事件だけではなく、安堂という人物を聴いていく面白さもある作品でした。
こんな人におすすめです
法廷での事件と、そこで働く人物の物語を一緒に読みたい方に向いています。
- 裁判官を主人公にしたミステリーを読みたい人
- 事件と人物の内面の両方を楽しみたい人
- 人によって違うものの見方を描いた小説に興味がある人
- 松山ケンイチさん主演ドラマの原作を知りたい人
- 綴木凌さんの朗読で小説を聴いてみたい人
まとめ
『テミスの不確かな法廷』は、裁判官・安堂清春が事件の謎と自分自身に向き合っていくリーガルミステリーです。
小野崎との関係や、法廷の外での安堂の姿にも、人物を知る楽しみがあります。
Audible版はプレミアムプランの聴き放題対象です。無料体験の対象となる方は、体験期間中に聴くこともできます。
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